タロット占いを学ぶなら、まずはタロットカードの歴史と起源、そしてカードの構成を理解しておくと良いでしょう。
実はタロットカードの歴史は謎に満ちており、その起源は数世紀にわたって様々な説が提唱されています。
今回はタロット占いを始める際に知っておきたい歴史と起源、そしてタロットカードのデッキと呼ばれる構成について詳しく解説します。
タロットの歴史と起源

まず始めに、タロットカードの起源や、占いに用いられるようになった歴史的な背景について解説していきます。
起源
タロットカードの起源は、古代エジプトやユダヤであるとされていますが、学術的な根拠はまだ認められていません。
諸説はありますが、14世紀にフランス・ヴァロア調の第4代国王シャルル6世が遊戯用の56枚のカードを購入したという記録があり、これが起源ではないかといわれています。
その後15世紀にイタリアのミラノ公フランチェスコ・スフォルツァが画家に描かせた手書きのカードが、現在のカードとほぼ同じ構成を持っていることから現存する最古のタロットカードとして保管されています。
初期のタロットは北イタリアの貴族たちの間でトランプのようなカードゲームとして使用されていたとされ、これらは「タロッキ」と呼ばれていました。
これらのカードが、16世紀に入って木版画で量産されるようになってから、フランスや他のヨーロッパの国々に広まり、さまざまな形態で人々に親しまれるようになりました。
タロットと占い
タロットが占いに使用されるようになったのは、18世紀のことです。
フランスとイタリアの占い師たちが、これらのカードに神秘的な意味を付与し始めたためです。
タロットカードの象徴性と直感的な画像が、人々の潜在意識や未来を映し出すツールとして理想的だと見なされました。
また18世紀にフランスの人気占い師がタロットカードに占星術の考え方を取り入れ、占いに活用する方法を紹介する書籍を出版しており、これが現代タロット占いのもとになっているといわれています。
現代タロット
19世紀から20世紀にかけて、タロットはさらに発展し、世界各地で多くの新しいデッキが作成されました。
特に有名なのは、「ウェイト版」と「マルセイユ版」の2つです。
ウェイト版は、神秘学者アーサー・エドワード・ウェイトが画家パメラ・コールマン・スミスにデザインを依頼し、ライダー社から発売されたもので、「ライダー・ウェイト・タロット」と呼ばれています。
ウェイト版は現在流通しているタロットカードの原型となっているため、初心者にはこちらのウェイト版がおすすめです。
直感的なイメージと象徴的な図柄が初心者にも解釈しやすいとされています。
マルセイユ版は、16世紀から18世紀にかけて流布していた木版画調のイラストが使用されているカードです。
18世紀ごろにフランスのマルセイユが一大生産地となっていたため、マルセイユ版と呼ばれています。
広まったのは20世紀に入ってからで、フランスのカードメーカーが18世紀のマルセイユで制作されたカードの復刻版を作ったことから広く使われるようになりました。
絵柄が独特で読み取るのにコツが必要となるため、ある程度タロットカードに慣れてきた頃に挑戦するのがおすすめです。
ウェイト版との違いは大アルカナの8番と11番が入れ替わっていることと、小アルカナの札に絵柄がなく、数だけを示すシンプルなデザインであることです。
文化的影響
タロットカードは、その神秘的な絵柄や解釈の幅広さから、ただの占いツールを超え、西洋の神秘主義やカルチャーに大きな影響を与えてきました。
様々な分野でタロットの影響が見られ、現代においては思想やアート、趣味嗜好を反映した様々なタロットカードが発売されています。
カードの登場人物をほぼ全員女性に置き換えてフェミニズムを表現したカードや、有名な画家が手がけた芸術性の高いもの、愛らしいキャラクターが描かれたものなど、タロットカードは現代風にアレンジされ、多様性を表現しています。
タロットの歴史と起源を学ぶことは、カード一枚一枚が持つ深い意味を理解する上でとても重要です。
この知識は、タロット占いの際にカードのメッセージをより深く、豊かに解釈するための基盤となるでしょう。
タロットデッキの構成: 大アルカナと小アルカナ

一般的に、タロットカードをまとめたものをデッキと呼びます。
タロットデッキは78枚のカードで構成されていて、大アルカナと小アルカナの2種類のカードに分かれています。
これらのカードはそれぞれ異なる意味と役割を持ち、タロット占いにおいて重要な役割を担っています。
大アルカナと小アルカナのカードと合わせてフルデッキと呼ばれますが、初心者は大アルカナのカードだけで占うことも可能です。
またタロットカードは1枚のカードでも見え方によって意味が違い、正位置と逆位置と呼ばれる2つの見え方に分かれます。
一般的に正位置はカードの持つ本来の意味を表し、逆位置はカードの持つ意味の反対の意味を表しています。
タロットカードの意味を読み取る際は、カードの向きにも注意しましょう。
大アルカナ
大アルカナは、22枚のカードから構成されている主要なカードのことです。
0番から21番まで番号が割り振られていますが、カードの種類によっては番号が入れ替わっていることもあります。
大アルカナは人生の大きなテーマや魂の成長、スピリチュアルな旅を象徴しています。
具体的な物事をピンポイントではなく、ざっくりと大まかなテーマを伝えていることが多いでしょう。
大アルカナはひとつのストーリーとして成り立っており、「0 愚者」が「1 魔術師」で新しいものを創造し、「2 女教皇」で思慮や分別をつけ、最後は「21 世界」に辿り着きます。
何も知らない若者が旅に出て成長し、行動して挫折を経験し、復活して最後には万物が調和した世界を手に入れるという、いわばひとりの人間の壮大な人生の物語です。
それぞれのカードは人生の段階や課題、機会を表しているため、出てきたカードはその人の人生の場面における重要なメッセージや影響を示唆しているのです。
例えば「愚者」は新たな冒険の始まりを、「運命の輪」は運命の変化を、「死」は変革や終わりを象徴します。
大アルカナは物事の本質的な意味を象徴しており、人の生き方そのものに対する世界観が表現されているといえるでしょう。
小アルカナ
小アルカナは、トランプの起源とも言われている56枚のカードです。
大アルカナが人生の大まかなイメージだとすると、小アルカナは人生の中で経験していく日常生活の具体的な出来事や感情を反映します。
これらは4つのスートと呼ばれるマーク(剣、杯、棒、ペンタクル)が描かれており、それぞれ異なる生活の側面を表します。
- 剣: 「風」を象徴します。知性や言葉、対立、苦痛を象徴し、挑戦や戦いの状況、判断力を示すことが多いです。
- 杯: 「水」を象徴します。感情や人間関係、慈愛心と豊かな愛情を表し、内面的な感受性や人とのつながりを示します。
- 棒: 「火」を象徴します。創造力やエネルギー、燃え上がる情熱を象徴し、新しいプロジェクトや活動の開始を示すことが多いです。
- ペンタクル: 金貨やコインとも呼ばれ、「地」を象徴します。仕事やお金などの現実的なものや健康を表し、実用的な問題や財務状況に関連します。4つの中で最も現実的な意味をもつスートです。
各スートはエースから10までの数字カードと、ページ、ナイト、クイーン、キングの4つのコートカードを含んでいます。
- ページ: 子ども・若い世代の人・目下の人物
- ナイト: 青年・社会人・同等の立場の男性
- クイーン: 母親・年上の女性・権威ある女性
- キング: 父親・年上の男性・権威ある男性
このように数字カードはその数に応じた状況や発展の段階を表し、コートカードは相談者や相談内容に登場する人、これから出会う人などの人物や性格を象徴します。
小アルカナには実在の人物像や情景など、一般社会を連想させる絵柄が描かれているので、人間の細かな感情の動きや、具体的な日常の体験、問題に対する実践的なアドバイスを読み取ることができます。
大アルカナと小アルカナが組み合わさることで、より深いレベルの解釈を可能にし、具体的な日常の出来事から人生の大きな変革に至るまで、幅広いメッセージを伝えることができるでしょう。
タロットデッキの構成を理解することはタロット占いにおいて、相談者の状況や心理を多角的に捉え、詳細なアドバイスを提供するためにとても重要なのです。

